「――ばかばかしい。みんな、ばかばかしい。これが日本の現実なのだわ。」
戦後まもなく書かれた太宰治の戯曲に、名古屋の若手演出家・かしやましげみつがリーディングで挑みます。
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「冬の花火」の舞台は、太宰自身の故郷である津軽。
“田舎の人たちったら、馬鹿だわねえ”と言わせる太宰にぼくは共感します。
ぼくは先日28歳になったのですが、そのほとんどをここ愛知で過ごしてきました。ずっと名古屋は都会だと思っていたのだけど、そうではないと最近ようやく気づきました。
ぼくが物心ついてからだけでも大きなニュースはいくつもあったけれど、その舞台のほとんどはここではなくて。ぼくにとってはどれも画面越しの出来事でしかなかった。画面を隔てれば、戦争も停電も不倫も、生身の隣人のつぶやきも噂も、つくり話と同列で映るようになった。
この戯曲は終戦後はじめての冬にかかれたらしいです。それからちょうど70年。ユートピアはつくれたんでしょうか。2016年のぼくたちは、冬どころか年がら年中、線香花火みたいな灯りを見つめながら、何か良い知らせが来るのをただひたすら待ち望んでるだけのように思えてならない。
かしやましげみつ
俳優、作家、演出家。劇団「うめめ」主宰。
現代会話劇や一人芝居などを中心に等身大の作品を創る。俳優としても多数の舞台に出演。
「人間は、格好悪くて愛おしい。」
★「冬の花火」を読んで
古典って、太宰って、小難しそうだなぁ~と構えていたけど、読みやすくて面白かったです。作品が時代を越えるには理由があるんだと。人間の普遍性を感じました。
2011年から小劇場演劇に出演。2013年に名古屋を拠点に活動中の劇団、妄烈キネマレコードに所属。所属劇団以外の作品にも数多く出演し、活動の場を拡げている。
★「冬の花火」を読んで
読んだ時に、こいつやべーなって思った登場人物がいるんですけど、自分がやる事になって、なんか、うん、わくわくします。
幼少からピアノに親しみ、ピアノの演奏や指導を行う一方、演劇への興味から朗読や戯曲執筆、役者と幅広い活動に取り組んでいる。これらの背景からいつしか音楽と演劇の融合に興味を持つようになり、音楽と物語を如何に同じ舞台に乗せるかを、模索中のテーマの一つとしている。音楽&演劇の面白い融合を探る企画、「戯曲演奏計画」の代表として企画・運営を行っている。
★「冬の花火」を読んで
初めて読んだときの感想は「え!長い台詞がいっぱいある!」でした。それから「女性たちが絶妙な線をいくなあ」でした。共感できるようなできないような…。そもそも太宰治の描く女性の「強さ」には私はよく感動するのですが、「弱さ」には共感しにくいのです。でも何故か気になってしまう。「何でそう考えたの?」「何でそうしたの?」と思って興味をそそられます。この作品に出てくる女性も、そういう感じです。あとこれは稽古で皆も言っていたことですが、登場人物の清蔵の言葉が気持ち悪くて、なかなかいい味が出ているなと思いました。
音楽大学卒業後、演劇と出会いさらなるエンターテイメントの世界へ。舞台を中心に映像やイベントに多数出演。またコンサートの企画制作や舞台の生演奏を手がける。 現在、日々の仕事のなかで、プロデュースや演出などもさせていただいおり、強者どもが群雄割拠するこの名古屋の地でダークホース的な存在になることは間違いない。 今後の活動に期待していただきたい。
★「冬の花火」を読んで
この時代私のようなものが何か言いうことではございませんが、全ての生きている人が必死に、生きたわけで、それはこの家族も必死に生きているわけです。そしてそこには愛があった事は真実ですが、それは不確かな愛なのかもしれません。しかしそれがこの家族なのです。そう思う他はないのかもしれません。…それはまだまだ私が浅はかな存在だからでしょう。
1990年生まれ。日々デザイナーとして働きつつ、絵をかいたり、「まにまに」という演劇っぽい団体で文章を書いたりもたまにします。個展「内側のまち」「夏町へゆく」、野呂有我・吉村桜子ふたり展「おふとんの海」ほか、地元佐賀での展示など。
http://yoshimurasakurako.com/
★「冬の花火」を読んで
「…いまは誰でも自分たちの一日一日の暮しの事で一ぱいなのでしょう?そんならそうと正直に言えばいいのに、まあ、厚かましく国民を指導するのなんのと言って、明るく生きよだの、希望を持てだの、なんの意味も無いからまわりのお説教ばかり並べて、そうしてそれが文化だってさ。…」という太宰の熱い気持ちがあって、圧倒されました。東京オリンピックを目前に第三次世界大戦の予感に怯えた2015年、現代のわれわれにも通ずるところがあるのでは。平和がいちばんですね。
▼日本演出者協会東海ブロックwebサイト▼
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2016.2.11 公演情報
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